「別に急いで買うつもりじゃなかった。」
「いつか買おうと思っていた。」
そんなAppleのiPad 13インチ。
ところが、値上げのニュースを見た瞬間、
「やっぱり欲しい!」
「今買わないと一生後悔する!」
そんな気持ちになった経験はありませんか?
実はこれ、決してあなたの意思が弱いわけではありません。
むしろ、人間の脳が正常に働いた結果なのです。
行動経済学や心理学では、この現象を説明する様々な理論が存在します。
今回は、
「Appleが値上げすると、なぜ物欲は逆に強くなるのか?」
その不思議な心理を徹底的に解説していきます。
人間は「得する喜び」より「損する痛み」を強く感じる
まず最初に知っておきたいのが、
損失回避バイアス(Loss Aversion)
という心理です。
これは、
人は得をする喜びより、損をする痛みを約2倍も強く感じる
という有名な心理現象です。
例えば、
値上げ前
「17万円でいつでも買える。」
この時点では、
買う自由を持っている状態です。
ところが…
値上げ後
「22万円になりました。」
実際にはまだ一円も払っていません。
それなのに脳は、
「5万円損した!」
と錯覚します。
つまり、
お金を失った事実は存在しないのに、
『失った気分』だけは本物
なのです。
だから、
「これ以上損をしたくない!」
という防衛本能が働き、
物欲が一気に加速します。
買えなくなるほど欲しくなる理由
もう一つ強力なのが、
心理的リアクタンス
という心理です。
人間は、
自由を奪われることを極端に嫌います。
昨日まで簡単に買えたものが、
今日から高額になってしまう。
すると脳は、
「買う自由を奪われた」
と判断します。
その瞬間、
失った自由を取り戻そうとして、
逆に欲求が高まるのです。
だから、
限定品
期間限定
残り1個
数量限定
こういった言葉に人は弱い。
希少になるほど、
脳は価値を何倍にも膨らませてしまうからです。
欲しかったのはiPadではなく「未来の自分」
実は、
あなたが欲しかったのは
13インチのアルミとガラスではありません。
本当に欲しかったのは、
その先にある未来です。
例えば…
・カフェでスマートに仕事をする自分
・美しい画面で映画を楽しむ休日
・大画面でブログを書く快適な毎日
・机の上にApple製品が並ぶ満足感
脳の中では、
すでにその生活が始まっています。
ところが値上げは、
その未来を突然遠ざけます。
すると脳は、
「理想の未来が消えてしまう!」
という危機感を覚えます。
これが、
近年よく耳にする
FOMO(Fear Of Missing Out)
つまり、
「取り残される恐怖」
なのです。
Appleは「機能商品」ではなく「感情商品」
ここで少し考えてみてください。
冷蔵庫が3万円値上げしたらどうでしょう。
「高いな。」
とは思います。
でも、
猛烈に欲しくなることはありません。
洗濯機でも同じです。
エアコンでも同じです。
ところが、
Apple製品だけは違います。
なぜなら、
Appleが売っているのは、
性能だけではないからです。
Appleが売っているものは、
・デザイン
・世界観
・ブランド
・所有する喜び
・クリエイティブなライフスタイル
そして、
「そんな自分になれる」という体験
なのです。
つまりApple製品は、
単なるガジェットではなく、
感情商品
なのです。
だから価格の変化が、
数字の問題ではなく、
感情そのものを揺さぶります。
脳の興奮と、本当に必要な物は違う
ここで一度、
冷静になってみましょう。
あなたが今感じている
猛烈な物欲は、
本当に必要だからでしょうか?
それとも、
値上げという刺激によって、
脳が興奮しているだけでしょうか?
この見極め方は意外と簡単です。
一時的な興奮なら…
2〜3週間経つと、
「あれ?別になくても困らないな。」
と思えてきます。
脳の興奮が落ち着いた証拠です。
本当に欲しいなら…
1ヶ月経っても、
価格を忘れて、
「やっぱり13インチの大画面でブログを書きたい。」
「やっぱりあの作業環境が欲しい。」
そんな具体的なイメージが消えません。
これが、
本物の欲求です。
投資でも買い物でも「一晩寝かせる」は最強の戦略
私は投資でも、
買い物でも、
共通するルールがあると思っています。
感情が一番高ぶっている時は、判断しない。
株式市場でも、
暴騰している時ほど冷静さが必要です。
暴落している時ほど、
慌てて売らないことが大切です。
買い物もまったく同じ。
「今しかない!」
という感情が湧いた時こそ、
一晩寝かせる。
一週間待つ。
それだけで、
本当に必要な物だけが残ります。
逆に、
それでも欲しいなら、
きっと後悔の少ない買い物になるでしょう。
まとめ|財布より先に「心」を奪われるのがApple
「買えなくなると欲しくなる。」
この現象は、
恋愛でも、
オークションでも、
限定ラーメンでも、
そしてApple製品でも、
まったく同じ心理が働いています。
値上げによって傷ついたのは、
実は財布ではありません。
心なのです。
そして、その心の動きを知ることは、無駄遣いを防ぐためだけではありません。
「自分は何に価値を感じ、何に心を動かされる人間なのか」を知るきっかけにもなります。
Appleの値上げは確かに家計には厳しい出来事でした。
しかし同時に、それは私たち自身の価値観を映し出す、一つの心理テストでもあったのではないでしょうか。
次に「欲しい!」という衝動に駆られたときは、ぜひ一度立ち止まって、自分の心に問いかけてみてください。
その物欲は、本物でしょうか。
それとも、脳が仕掛けた巧妙な心理のマジックなのでしょうか。


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