なぜ食品会社が儲かるのか
「食料品の消費税を0%にします」
一見、家計に優しい政策に見えます。
しかし仕組みを冷静に見ると、
✔ 価格は下がらない可能性
✔ 巨大食品メーカーへの巨額還付金
✔ 外食産業への増税効果
という“逆転現象”が起きます。
今回はそのカラクリを数字で解説します。
① 本当に価格は8%下がるのか?
多くの人はこう思います。
税率8% → 0%
だから価格は8%安くなる
しかし消費税は「価格に上乗せされた別枠の税」ではありません。
企業は原材料費、人件費、光熱費、物流費などを含めて
最終価格を決めています。
仮に税率がゼロになっても、
・原材料価格が高騰
・円安
・人件費上昇
これらがあれば、価格は維持される可能性が高い。
つまり、
減税=値下げではない
これが最初のポイントです。
② ゼロ税率は「輸出」と同じ扱いになる
ここが最大の論点です。
消費税で0%税率といえば、
代表例は「輸出」。
輸出企業は売上税率0%ですが、
仕入や経費で支払った消費税は
国から還付されます。
では食料品を0%にしたらどうなるか?
仕組みは同じです。
③ 食品会社に発生する巨大還付金
仮にある大手食品メーカーの数字を想定します。
売上:1兆円(食料品)
税率:0%
一方で、
電気代・物流・原材料など
仕入にかかる消費税:428億円
この場合、
売上税額:0円
仕入税額:428億円
差額は?
▲428億円 → 国から還付
もともと301億円還付を受けていた企業が、
ゼロ税率でさらに127億円増えるケースも想定されます。
これが意味するのは、
何も生産性を上げなくても、制度変更だけで巨額の補助金状態になる
ということ。
しかも食品業界全体では、
還付総額は約5兆円規模になるという試算もあります。
④ 消費者ではなく企業に資金が流れる理由
ゼロ税率で生じるのは
・消費者への値下げ保証なし
・企業への確定的な還付金
つまり
家計に直接届くとは限らない一方で、
企業には確実にキャッシュが入る。
この構造が「不公平」と言われる理由です。
⑤ 外食産業が地獄を見る理由
次に問題なのが外食産業。
仮に
・スーパーの食料品 → 0%
・外食 → 10%
となればどうなるか?
問題① 価格競争で不利
家庭用食材は0%
レストランは10%
同じ「食」なのに税率差。
外食の価格は相対的に割高になります。
問題② 仕入税額控除が消える
外食業者は食材を仕入れます。
しかしその食材が0%なら、
仕入にかかる消費税はゼロ。
つまり、
納税時に差し引ける税額が減る。
結果として、
納税額が増える可能性がある
特に利益率の低い飲食業では、
致命的です。
高級レストランほど打撃が大きいと言われます。
⑥ 産業の歪みが生まれる
この政策が生むのは、
✔ 巨大食品メーカーに巨額還付
✔ 外食産業に増税効果
✔ 家計への効果は不透明
つまり
産業間の不公平
本来、中立であるべき税制が
産業構造を歪める可能性があります。
⑦ 本当にやるならどうするべきか
もし負担軽減を目的にするなら、
✔ 全品目一律で税率を下げる
✔ もしくは消費税そのものを引き下げる
これなら産業間の不公平は生まれません。
特定分野だけをゼロにする政策は、
副作用が大きいのです。
まとめ
食料品ゼロ税率は一見「優しい政策」。
しかし実態は、
・価格が下がる保証はない
・食品会社に巨額還付金
・外食産業に増税効果
・産業構造の歪み
という複雑な問題を抱えています。
税制は感情ではなく「構造」で考える必要があります。
“誰が得をして、誰が損をするのか?”
そこまで見なければ、本質は見えません。

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