消費税は「消費者が負担し、事業者は預かって納める税金」。
私たちは長年そう説明されてきました。
しかし、実務と数字を追っていくと見えてくるのは、
“消費税という名の売上税”に近い実態です。
なぜ赤字でも払うのか。
なぜ滞納が最多なのか。
なぜ中小企業ほど苦しくなるのか。
今回は、具体的な数字を交えながら徹底解説します。
① 消費税は「預かり金」ではないという事実
一般的なイメージ
→「お客さんから預かった10%をそのまま納める」
しかし法律上の納税義務者は事業者自身です。
消費税は構造上、
納税額 = 売上にかかる消費税 − 仕入にかかった消費税
という「付加価値課税」になっています。
つまり本質は、
売上 − 仕入 = 付加価値
この“付加価値”に対して約9.09%(10/110)が課税されているのです。
これは実質的に「売上税」に近い性質を持っています。
② 赤字でも払う理由(具体例)
ここが最大の不思議です。
■ 具体例
売上:1億円
仕入:6,000万円
付加価値:4,000万円
消費税(概算):
4,000万円 × 9.09% ≒ 364万円
ここから人件費3,800万円を払ったとします。
最終利益は?
4,000万円 − 3,800万円 = 200万円
さらに家賃・光熱費などで赤字転落。
それでも消費税364万円は発生します。
なぜなら課税対象は「利益」ではなく「付加価値」だからです。
法人税なら赤字ならゼロ。
消費税は赤字でも関係なし。
これが最大の違いです。
③ 事業税「付加価値割」との比較
比較対象としてよく挙げられるのが
「事業税の付加価値割」です。
| 税金 | 税率 | 対象 |
|---|---|---|
| 事業税付加価値割 | 約1.2% | 資本金1億円超の大企業 |
| 消費税(実質) | 約9.09% | ほぼ全事業者 |
同じ「付加価値」に対する課税なのに、
税率は約7.5倍。
しかも事業税は大企業中心。
消費税は零細企業・個人事業主まで対象。
この構造が「不思議」と言われる理由です。
④ 滞納ワースト1の理由
近年、消費税の滞納額は約5,000億円規模と言われています。
なぜ滞納が起きるのか?
もし本当に“預かり金”なら、
預かった分を別口座で管理すれば済む話です。
しかし現実は、
・売上が入る
・そこから人件費や仕入を払う
・資金がショートする
・納税資金が足りない
という流れで資金繰り倒産が起きます。
特にインボイス制度導入後は、
免税事業者だった層も納税義務が発生し、
資金繰り負担はさらに増大しました。
⑤ 「消費税=売上税」と言われる理由
消費税は理論上は付加価値税。
しかし実務上は、
・売上が立った瞬間に税額が確定する
・利益とは無関係
・赤字でも支払義務
・資金繰りに直撃
この性質から、実感としては
「売上に罰金がかかる税」
のように感じる事業者が多いのです。
⑥ マクロ経済への影響
消費税増税のたびに個人消費が落ち込むのは有名です。
理由は単純。
・消費者 → 可処分所得減少
・事業者 → 利益圧迫
・設備投資抑制
デフレ環境では特に逆効果になりやすい税制です。
⑦ 廃止・減税は可能なのか?
消費税収は約23兆円規模。
国の基幹財源であることは事実です。
しかし同時に、
・社会保険料負担増
・実質賃金低下
・中小企業淘汰
という副作用も大きい。
議論すべきは
「上げるか下げるか」ではなく、
構造として持続可能なのかどうか
という点でしょう。
まとめ
消費税は、
✔ 預かり金ではない
✔ 利益ではなく付加価値に課税
✔ 赤字でも払う
✔ 大企業より中小に重い構造
✔ 滞納ワースト1
だからこそ、
「消費税という名の売上税」
と呼ばれるのです。
事業をするなら、
利益管理だけでなく
“消費税込みの資金繰り管理”が最優先
これが現実です。


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