株式市場は上昇と下落を繰り返す。
特にリセッション(景気後退)や急激な暴落の局面では、投資家の心理は大きく揺れる。しかし、過去のデータを見ると、どの局面も必ず回復してきたことがわかる。
ここでは、過去の代表的な3つの事例をもとに、「暴落・リセッションから株価はどのくらいで回復したか」を整理してみたい。
1. 2008年リーマンショック
- 背景:米国のサブプライム住宅ローン問題が発端となった金融危機
- 指数:S&P500
- 暴落期間:2007年10月〜2009年3月
- 下落幅:約57%
- 回復期間:2009年3月を底に、2013年春まで約4年で元の水準に回復
ポイント:金融システムの混乱による急落であったが、量的緩和(QE)や財政出動により市場は回復。
リセッションの影響は長期化したが、底値で耐えた投資家は大きな利益を享受した。
2. 2000〜2002年 ドットコムバブル崩壊
- 背景:ITバブルの過熱による株価急騰、その後の調整
- 指数:NASDAQ総合指数、S&P500
- 暴落期間:2000年3月〜2002年10月
- 下落幅:S&P500 約49%
- 回復期間:2002年10月底値から、2006年初めまで約4年で回復
ポイント:過熱したIT関連株の崩壊で広範な調整が発生。
株式市場全体は回復に時間を要したが、長期投資家は安値での買い増しが大きなリターンにつながった。
3. 2020年 コロナショック
- 背景:COVID-19パンデミックによる世界的経済停滞
- 指数:S&P500
- 暴落期間:2020年2月〜3月
- 下落幅:約34%
- 回復期間:底値から約5か月でコロナ前水準に回復(2020年8月頃)
ポイント:政府・中央銀行による迅速な財政・金融政策(量的緩和・給付金)が市場の急回復を支えた。
短期間での回復は稀なケースだが、政策の影響が大きいことを示している。
過去3事例の共通点と教訓
- 下落幅は深いが、必ず回復する
- リーマンショック:約57%下落
- ドットコム:約49%下落
- コロナ:約34%下落
- 回復までの期間は事例ごとに異なる
- 長期(約4年):リーマンショック・ドットコム
- 短期(約5か月):コロナショック
- 政府・中央銀行の政策が回復スピードに影響
- コロナショックは政策対応が迅速で回復が早い
- 過去の金融危機では回復まで数年を要した
投資家への示唆
- タイミングを待たず、継続することが重要
過去の事例から分かるように、市場は必ず回復する。暴落を恐れて手を引くと、回復の果実を逃す可能性が高い。 - 分散投資の重要性
S&P500だけでなく、世界株式や債券を組み合わせることで、暴落局面でのリスクを軽減できる。 - 複利の力を信じる
回復局面では、積み立て続けた資産が複利で増加する。暴落はむしろ、安く買えるチャンスともいえる。
まとめ
- 市場の暴落やリセッションは避けられない現象
- 過去の3事例では、下落幅は34〜57%程度
- 回復までの期間は数か月〜数年と幅がある
- 長期投資家にとって重要なのは、市場に居続けることと積立を継続すること
結局のところ、勝つ投資家は「タイミングを完璧に当てる人」ではなく、下落時も耐え、淡々と積立を続けた人である。

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