1. 年金「平均額」と「中央値」はどう違うのか?
日本の公的年金に関する統計でよく語られるのは、「年金の平均支給額は月15万円前後」というものです。これは厚生年金受給者の平均であり、自営業者や非正規雇用だった人が多い国民年金のみの受給者とは大きな差があります。
📌 最新データ(※2024年厚労省資料などを元にした参考値)
種別 | 月額平均 | 月額中央値(推定) |
---|---|---|
厚生年金(男性) | 約17.4万円 | 約14.0万円前後 |
厚生年金(女性) | 約10.6万円 | 約8.5万円前後 |
国民年金のみ | 約5.7万円 | 約5.0万円以下 |
👉 **中央値は、平均よりもさらに現実に近い「真ん中の人の額」**です。高額受給者が一部にいるため、平均はやや上振れする傾向があります。
2. 中央値から見えてくる「格差」のリアル
年金支給額が月5万円〜10万円に届かない人が多数いる現実から、高齢期の生活は大きく二極化していることが分かります。
- 現役時代に厚生年金に加入していた人は生活にゆとりがある
- 自営業・非正規・女性単身世帯などは低年金に苦しんでいる
🧓 特に女性の高齢単身世帯は要注意
生涯非正規だった女性、離婚・死別後に一人になった高齢女性は、年金が月数万円しかなく、貯蓄が底をつくと生活保護寸前…というケースもあります。
3. 体が動くうちは「働くべき」なのか?
「年金だけじゃ暮らせないから、体が動くうちは働いた方がいい」というのは、一見シンプルな答えのように見えますが、これは誰にでも当てはまる万能解ではありません。
✔ 働けるなら働いた方がいいケース
- 生活費が年金だけでは不足する
- 健康維持や社会参加の意味で働くことに価値を感じる
- 趣味や特技を活かして収入に変えられる
❌ 無理に働くべきではないケース
- 持病や体力の問題で無理をすると健康リスクが高い
- 精神的ストレスが大きく、生活の質を下げてしまう
- 家族や地域とのつながりなど、働かなくても充実感を得ている
👉 結論:働くことは「手段」であって「目的」ではない。大切なのは、その人らしく生きること。
4. 「働かずに生きる」ために必要な視点
もし働くことが難しい、あるいはしたくないなら、以下のようなアプローチが有効です。
🌿 必要なのは「支出を抑えつつ、豊かに暮らす力」
- 固定費(家賃・通信費・保険)を見直して最小化
- 地域の公的サービスや福祉制度をフル活用(シルバー割引・無料講座など)
- 趣味や人間関係を「お金のかからない形」で持続
🏡 地域社会とのつながりが、老後のQOLを決める
- 公民館や地域サロン、ボランティア団体などとのつながり
- 生涯学習・趣味活動の場を持つことで、「孤独」や「不安」と距離を取れる
5. 具体的な生活シナリオ|年金月8万円の人の老後例
項目 | 月額費用(目安) |
---|---|
家賃(URなど) | 25,000円〜40,000円 |
食費 | 20,000円〜25,000円 |
光熱・通信費 | 10,000円〜15,000円 |
医療費 | 5,000円〜10,000円 |
雑費・交際費 | 10,000円 |
合計 | 約70,000〜100,000円 |
👉 工夫すれば月8万円でも最低限の生活は可能。ただし、医療・介護など将来のリスクに備える備蓄や知恵が必要になります。
6. 老後の不安を減らす3つの戦略
✅ ① 「小さく暮らす」ことに慣れておく
- 断捨離やミニマリズム的生活の練習
- 小さな家・小さな習慣で満足できるように
✅ ② 資産を育てる「長期積立投資」の導入
- 少額でも、若いうちからiDeCoやNISAで資産形成
- 複利×時間の力を活かして、年金+αの資産を作る
✅ ③「人とのつながり」を資産にする
- 孤独は最大のリスク。コミュニティに所属し、心の健康を守る
7. まとめ|「年金格差社会」を生き抜くために
課題 | 対応すべき行動 |
---|---|
年金の格差 | 働き方・性別・制度理解の違いから生じる。支出の見直しと資産形成を。 |
働くか否か | 体調・生活費・生きがいに応じて柔軟に選ぶ。社会との接点を持ち続けることが大事。 |
豊かな老後 | お金の量ではなく、暮らし方・考え方がカギ。小さな幸せを大きく育てる知恵が求められる。 |
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