世界経済の不確実性が高まる中、インフレ対策や資産防衛の手段として「金(ゴールド)」への注目が再び高まっている。金は通貨や株式と異なり、価値の保存手段として長い歴史を持つ資産だ。では、もしこの25年間、コツコツと金を積み立てていたらどうなっていたのだろうか。
仮に2000年1月から2025年10月まで、毎月1万円ずつ金を購入していたとする。積立回数は294回、総投資額は294万円だ。2000年当時、金の価格は1グラムあたり約1,000円。それが2025年10月時点では2万円を超える水準にまで上昇している。年率にしておよそ13%という力強い上昇だ。
この価格推移を基に積立購入を続けた場合、約937.1gの金を保有することになる。これを現在の価格(2万円/g)で評価すると、約1,874万円に達する計算だ。元本294万円に対して、およそ6倍以上のリターンという結果である。
重要なのは、これは「一括投資」ではなく、毎月1万円という少額の積立によって実現しているという点だ。積立投資にはドル・コスト平均法のメリットがある。価格が安いときには多く、価格が高いときには少なく買うことで、購入単価が平準化される。結果として、相場のタイミングを読む必要がなく、長期で着実に資産を積み上げることが可能になる。
また、金は株式や債券とは異なる値動きを示すため、分散投資の一角としても機能する。金融不安やインフレ局面で資金が金に流入しやすい傾向があるため、ポートフォリオの安定性を高める役割も果たす。
25年という長い時間軸の中で、1万円の積立が1,800万円を超える資産に成長したのは、「時間と複利」の力の象徴と言えるだろう。大きな元手がなくても、長期的な視点と継続力があれば、資産形成は十分に可能だ。
「いつ始めるか」が、投資における最大の分岐点となる。


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