ここ数年、日本の投資家の間で オルカン(全世界株式) や S&P500 など、海外インデックスファンドへの資金流入が圧倒的に増えています。
2024〜2025年にかけてのNISA恒久化によって投資家が増えたこともあり、その傾向はさらに加速。
- 日本株より米国株
- 国内ETFより海外ファンド
- 国内経済より海外成長
こうした流れが完全に定着しつつあります。
結果として、
「個人の投資資金が大きく海外へ流出している」
という状況になっています。
もちろん、国際分散投資は合理的で良いことです。
しかし一方で、
日本国内の企業や産業に資金が回らず、国内投資が停滞している
という“痛し痒し”な問題も確実に存在します。
■ なぜ日本人の資金は国内に回らないのか?
この現象には、次の3つの理由が大きく関係しています。
① 長期で見ると米国株の方が圧倒的に成長している
株価指数の長期チャートを比較すると、
米国(S&P500)の成長率は日本(日経平均)の数倍以上。
投資家心理として「伸びる方に投資する」のは自然です。
② 日本株は理解しにくい・情報が取りにくい
- 決算資料が読みにくい
- 企業の中長期ビジョンが見えにくい
- 政策や為替の影響を受けやすい
こういった点が、個人投資家から敬遠されやすい理由になっています。
③ そもそも投資信託のラインナップが“海外優勢”
2024年以降のNISAで売れている銘柄ランキングを見ると、
ほとんどが海外株インデックス。
国内株ファンドは 人気・商品性・リターン の面で、競争力が弱いのが現実です。
■ 国内投資を活性化するために必要な「NISAの国内枠」
ここで注目されているのが、
「NISAの中に国内投資専用の枠を新設すべき」
という議論です。
これは、以下のようなメリットがあります。
● ◎ 日本市場に確実に資金が回る
現状のNISAは完全に自由枠なので、
結果として海外資産ばかりに投資される構図になっています。
国内専用枠を設ければ、日本企業に資金が回り、
株式市場や企業投資が活性化しやすくなります。
● ◎ 日本経済の資金循環が改善
NISAによってせっかく国民の投資意識が高まったのに、
資金が海外に出てしまうのは国家的にはもったいない。
国内枠は「資金循環の改善」を促す政策として効果的です。
● ◎ インフレ下での資産形成を日本国内でも可能に
企業が成長すれば株価も上がりやすくなり、
「国内株でも長期資産形成ができる」
という流れを作りやすくなります。
■ 海外投資と国内投資の“バランス”が重要なのでは?
もちろん、すべてを国内に寄せる必要はありません。
- 海外インデックス → 世界経済の成長を取り込む
- 国内株式 → 日本経済の基盤として支える・リターンを得る
この 両輪 が揃って初めて、健全な投資環境が成立します。
その意味で、
「国内枠の新設」は日本の投資文化を成熟させる一歩
と言えるでしょう。
■ まとめ:これからのNISAは、海外だけでなく“国内も育てる”仕組みが必要
日本人投資家が海外資産を重視する流れは自然であり、合理的です。
しかし国家経済全体を見ると、
国内に資金が回らない構造は長期的にはリスクでもあります。
その解決策として、
「NISAに国内投資専用枠を作る」
という案は非常に現実的であり、
投資家・企業・政府すべてにメリットがあります。
海外に振れすぎた投資資金のバランスを取り、
国内企業の成長を後押しするためにも、
今後の政策議論に期待したいですね。


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