——浮かれすぎず、冷静な視点を持つべき理由
2025年10月、日経平均株価がついに史上最高値を更新した。
バブル期の高値(1989年12月:3万8,915円)を大きく超え、経済メディアは「失われた30年の終焉」と報じる。
だが、果たしてこの上昇は“本物”なのか。それとも一時的な熱狂にすぎないのか。
本記事では、今回の最高値の背景と今後のシナリオを、過去データと市場動向から冷静に読み解く。
■ 上昇の主因:企業収益と円安効果
今回の上昇をけん引したのは、企業業績の改善と円安の追い風である。
円相場は1ドル=150円台後半まで進行。輸出企業の利益は円換算で膨らみ、特に自動車、電子部品、半導体関連が軒並み過去最高益を更新した。
また、米国の金利引き下げ観測も追い風となり、海外投資マネーが再び日本市場に流入。
インデックス型ETFへの資金流入は2024年の約1.5倍に達した。
「安定したインフレ」「緩やかな賃上げ」「企業改革の進展」——かつて悲観が支配していた日本市場に、構造的な変化が生まれつつある。
■ それでも警戒が必要な“3つのリスク”
一方で、市場の高揚ムードの裏には、見逃せないリスクも存在する。
1️⃣ 実体経済との乖離
消費者物価が上昇する一方で、家計の実質購買力は伸び悩む。
賃上げの恩恵が中小企業や地方にまで波及していないため、内需回復は限定的だ。
2️⃣ 海外要因の不確実性
米大統領選後の政策転換や中国経済の減速、地政学リスクなど、外部環境は依然として不安定。
わずかな国際情勢の変化で資金が一気に逃げる可能性もある。
3️⃣ “過熱感”の高まり
信用取引の買い残高が増え、個人投資家の短期売買が目立ち始めている。
PER(株価収益率)は20倍台に迫り、「利益成長に見合う水準か」が問われ始めている。
■ 投資家が取るべきスタンス
市場が熱を帯びるときほど、必要なのは**「冷静さ」**だ。
短期的な上昇に飛び乗るより、企業の本質的な収益力に注目するべき局面である。
投資戦略の基本は3つ。
- ① 分散投資:国内株だけでなく、米国株・新興国株・債券・金(ゴールド)もバランスよく保有
- ② 定期積立:相場の波に左右されず、平均取得単価を下げる
- ③ 長期視点:企業改革・構造変化が実を結ぶのは3〜5年スパン
■ 青ウルフのひと言
💬 「株価が上がったときこそ、足元を見つめよう。
本当の成長は、数字よりも“持続力”の中にあるんだ。」
■ まとめ
- 日経平均の史上最高値更新は、企業収益と円安の相乗効果によるもの
- ただし、実体経済・海外情勢・過熱感の3リスクには要注意
- 投資家は分散・積立・長期視点を忘れずに、冷静に行動を
日本株市場の「復活」が本物かどうかを決めるのは、今後数年の企業努力と投資家の姿勢だ。
焦らず、浮かれず、「強い日本株」への変化をじっくり見届けたい。


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