インフレや円安が進むなか、資産防衛の手段として金(ゴールド)への関心が高まっている。
「金は持っておくだけ」と思われがちだが、実は少額の積立でも大きなリターンを得られる可能性がある。
仮に2015年から2025年までの10年間、毎月1万円ずつ金を積み立てていたとしよう。積立回数は120回、元本は120万円になる。2015年当時、金の価格は1グラムあたり約5,000円。それが2025年には2万円を超える水準にまで上昇した。わずか10年で価格は4倍になった計算だ。
積立によってコツコツ購入してきたグラム数は、概算で約120g。これを現在の価格(20,000円/g)で評価すると、資産額は約240万円に達する。つまり、10年間で資産が2倍になったことになる。
この成長の背景にあるのが、金の価格上昇とドル・コスト平均法の効果だ。金価格は常に一定ではなく、景気や為替、国際情勢によって上下する。積立投資では価格が安いときに多く、高いときには少なく買うため、平均購入単価を下げる効果がある。結果として、タイミングを読む必要なく長期で安定した成果を出せる。
また、金は株式や債券とは異なる値動きをするため、分散投資の一角として非常に有効だ。金融システムへの不安が高まる局面では資金が金に流れ込みやすく、資産全体のリスクを抑えるクッションにもなる。
10年という比較的短い期間でも、1万円の積立が2倍の価値に育つのは「時間と価格変動を味方につけた結果」だ。
「まとまった資金がないから投資できない」と諦める必要はない。コツコツ積み立てる習慣が、インフレや為替変動に強い資産を築く第一歩になる。


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