ビットコインが史上最高値更新も上値重く──「デジタルゴールド」再評価の背景とは

仮想通貨

2025年10月10日午前9時時点での暗号資産市場の時価総額は 644.35兆円、24時間売買代金は 29.48兆円となった。主要銘柄の動向では、ビットコイン(BTC)が 18,656,721円(−0.94%)、イーサリアム(ETH)が **669,776円(−3.11%)**と、ともに小幅な下落となった。ただ、その背景には米国政治の混迷と安全資産への資金流入という大きな潮流がある。


■ 政府閉鎖と「無国籍資産」への評価

今回のビットコイン高騰の契機となったのは、米政府閉鎖だ。米国議会で予算交渉が難航し、政府機関の閉鎖が続く中、市場では不透明感が急速に高まった。安全資産とされる金は連日のように史上最高値を更新し、リスクヘッジの資金が殺到。一方、国境や政府に依存しない「無国籍資産」としてのビットコインの特性が再評価され、買いが強まった。

特に今年に入り、金とビットコインは「相関性が高まっている」との指摘が増えている。従来はリスク資産とみなされてきた暗号資産だが、地政学リスクや財政不安が高まる局面では「デジタルゴールド」としての役割を担い始めている。


■ 利下げ期待とリスク資産の買い戻し

さらに、主要な米経済指標の発表が政府閉鎖で延期され、材料難となる一方で、根強い利下げ期待が株式市場を押し上げた。米国株は上値を追う展開が続き、日本株も高市新総裁への政策期待を背景に高値を更新。リスク資産全体に強い買いが入り、その一環としてビットコインETFにも連日で数億ドル規模の資金流入が確認されている。

結果、BTC価格は一時 125,000ドル(約1,900万円) を突破。およそ2か月ぶりに史上最高値を更新した。ETF経由の買いが主導した点は、機関投資家の参入拡大を象徴している。


■ テクニカル面ではもみ合いへ

ただし、急騰の反動も出ている。10月9日、ビットコインは12万4,000ドルに挑戦した後、急速に12万1,000ドルを下回る水準まで反落。金と銀が記録的な高値から反落したタイミングと重なり、短期的な利確売りが出た格好だ。

足元では12万ドル割れも一時的に観測されたが、再び12.1万ドル(約1,845万円)台まで戻しており、強い買い需要が下値を支える構図となっている。
テクニカル的には 12万ドルが重要な支持線12.4万ドルが上値抵抗線として意識されている。


■ 中国勢の売りとETFフローの綱引き

今回の調整局面では、国慶節明けの中国勢による売り圧力も目立った。一方で、ETFへのフローは買いの主体であり、過去9営業日で60億ドルが流入。需給バランスとしては「押し目買い優勢」といえる。

中東和平進展への期待感や、パウエルFRB議長の講演内容も週明けの相場を左右する材料として注目される。市場では「年内利下げシナリオが維持される限り、ビットコインは高値圏を維持する」との見方が強い。


■ 金との「安全資産競争」

注目すべきは、今回の局面で金とビットコインが同時に史上最高値圏にある点だ。かつては相反する値動きを見せることが多かった両資産だが、ここ数か月は「安全資産」として並び立つようになっている。
金が伝統的な実物資産として機関投資家に根強い人気を持つ一方、ビットコインは流動性・24時間取引・国境を超える送金可能性という強みを持ち、特に若い投資家層やファンド勢にとって魅力的な代替資産となりつつある。


■ 今後3ヶ月の展望

市場関係者の多くは「短期的な調整はあっても、上昇トレンドは維持される」との見方を示す。米金融政策の方向性、ETFフローの持続、中国・中東情勢がカギとなる見通しだ。
特にETF流入が止まらなければ、BTC価格が再び 13万ドル台 を試す可能性もある。一方で、利下げが遅れる、または米政府閉鎖が長期化する場合は、株式市場の調整と連動するリスクも残る。


moomoo証券

📝 総評

・米政府閉鎖で安全資産に資金流入
・金とビットコインが同時に史上最高値圏
・ETF買いが下値を支える
・テクニカル上は12万ドルが支持線、12.4万ドルが抵抗線
・年末にかけて再び上値を試す展開も

市場は依然として不安定な状況が続くが、資金の一部が「無国籍資産」であるビットコインに振り向き始めている点は、過去の相場局面とは明確に異なる。金と並ぶ“安全資産の主役”としての存在感が、いよいよ現実味を帯びてきた。

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