それでも金価格は「まだ上がる」と言える理由
「金価格はすでに高い」
そう感じている投資家は少なくありません。しかし、**ゴールドマン・サックスは“まだ上昇余地がある”**と指摘しています。その根拠の一つが、アメリカ人の金保有率の低さです。
一見すると意外ですが、これは金市場にとって重要な意味を持っています。
アメリカでは金投資が“主流”ではない現実
アメリカの個人投資家の資産構成を見ると、中心は以下です。
- 株式(S&P500、NASDAQ)
- 債券
- 不動産
- 投資信託・ETF
現物の金や金関連資産の比率はごくわずかにとどまっています。
歴史的にも、米国では「株式=資産形成」「金=非常時の保険」という位置づけが強く、金を大量に保有する文化はありません。
👉 つまり、
金は“買われすぎ”ではなく、むしろ“持たれていない”資産なのです。
ゴールドマンが注目する「上昇余地」の正体
ゴールドマン・サックスが強気姿勢を崩さない理由は、主に次の3点です。
① 個人投資家の参入余地が大きい
もし米国の個人投資家が、
「ポートフォリオの1〜3%を金に振り向ける」
だけでも、金市場には莫大な新規資金流入が発生します。
現在はその“入口”にすら立っていない状態です。
② インフレ・財政不安が続く構造
- 米国の巨額財政赤字
- 高止まりするインフレ懸念
- 地政学リスクの常態化
これらはすべて、金が評価されやすい環境を作ります。
にもかかわらず、金はまだ米国個人投資家に十分浸透していません。
③ 中央銀行はすでに動いている
個人投資家とは対照的に、
各国の中央銀行は金を積極的に買い増ししています。
- ドル依存の低下
- 外貨準備の分散
- 地政学リスクへの備え
「賢い資金」はすでに金へ向かっており、
最後に動くのが個人投資家という構図が見えてきます。
「金価格は高値」という思い込みの危険性
多くの投資家が陥りがちな罠があります。
金はもう十分上がった
今から買うのは遅い
しかし、
保有されていない資産は、上がり切っていない
という見方もできます。
株式が“国民的投資対象”となった後にバブルが形成されたように、
金が一般層に広く認識された時こそ、価格が本格的に動く可能性もあります。
日本の個人投資家にとっての示唆
この話は、米国だけの問題ではありません。
- 円安リスク
- 日本の財政赤字
- 株式市場への集中投資
これらを考えると、
資産の一部を「値上がり目的ではなく、保険としての金」に振り分ける
という考え方は、今後さらに重要になります。
まとめ|金は「まだ注目されていない」からこそ意味がある
- アメリカ人は金をほとんど持っていない
- 個人投資家の参入余地は極めて大きい
- 中央銀行はすでに金を買っている
ゴールドマンが示唆するのは、
「金は終わった資産ではなく、まだ始まっていない資産かもしれない」
という視点です。
金価格の動向を見る際は、
「今いくらか」だけでなく、
**「誰がどれだけ持っているか」**にも注目してみてください。

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