【わかりやすく解説】業績不振なのに退職金を割増?その理由とは?

老後

「赤字なのに退職金アップ?矛盾に見えて、実は“正しい戦略”です。」

はじめに

「ウチの会社、業績が悪いのに退職金を増やすって言い出したんだけど…」「なんで今、そんなお金があるの?」
そんな声を耳にしたことはありませんか?

普通に考えれば、業績不振のときには支出を抑えるのが基本。しかし、実際には退職金を割増して早期退職を促す企業が後を絶ちません。一見矛盾した行動のように見えますが、これには明確な理由があります。

本記事では、大学生でも理解できるよう、業績不振時に退職金を割増する企業の背景と意図をわかりやすく解説していきます。


1. 割増退職金は「将来のコスト削減」のための先行投資

まず、企業が割増退職金を出す背景には、人件費の圧縮という目的があります。業績が悪化しているとき、経費の中でも特に大きなウェイトを占めるのが「人件費」です。

例えば、ベテラン社員の年収が800万円だった場合、その人を雇い続けると今後10年間で約8000万円のコストがかかる計算になります。これを早期退職によって退職金3000万円(通常の2倍など)で「解消」できれば、長期的には大きなコスト削減になるのです。

つまり、退職金の割増は「無駄な出費」ではなく、「コスト削減のための先行投資」と捉えられます。


2. 「整理解雇」は企業にとってリスクが大きい

企業が人員削減を行う方法は大きく2つあります。

  • 強制的に社員を解雇する「整理解雇」
  • 自主的な退職を促す「早期退職制度」

しかし、日本の労働法では、整理解雇には厳しい条件が課されています。企業が「業績不振だからクビ」と簡単に言えないのです。

さらに、整理解雇を行うと企業イメージが悪化したり、訴訟リスクが発生する可能性もあります。これに対して、**割増退職金を提示して「自ら辞めてもらう」**方法は、トラブルを避けつつ人員を減らせる、非常にスマートな選択肢となるのです。


3. 「早期退職制度」とは?導入の狙い

実際に多くの企業では、**「早期退職優遇制度」**として割増退職金を導入しています。

この制度では、退職を希望する社員に対して「通常より多めの退職金」や「再就職支援サービス」を提供することで、自主的な退職を促します。対象は40代後半〜50代の中高年層が中心で、給与の高い層から退職してもらうことで、組織全体の人件費をスリム化しようとするのです。

加えて、若手へのポスト移行が進み、組織の新陳代謝や柔軟性も向上するという副次的なメリットも期待されます。


4. 割増退職金のメリットとデメリット【社員側の視点】

では、割増退職金を受け取る側、つまり社員にとってはどうなのでしょうか?

メリット:

  • 通常より多い退職金を一括で受け取れる
  • 自主退職扱いのためキャリアに傷がつきにくい
  • 再就職支援などのサポートが受けられることもある

デメリット:

  • 再就職が難しいと、収入が断たれる可能性がある
  • 退職後の社会保険や年金の空白期間に注意が必要
  • 退職後の生活設計が不十分だと後悔することも

そのため、社員側は「金額の多さ」だけでなく、退職後のライフプランや将来設計を慎重に考える必要があります。


5. 実際に起きた例:大手企業の実施事例

例えば、近年では大手電機メーカーや航空会社などで、業績不振を背景に大規模な早期退職制度が導入されています。
**ある電機メーカーでは、40代後半以上を対象に最大2000万円の割増金をつけた早期退職を実施。**これにより、数百人規模の人員削減が行われました。

表向きには「希望者を募っただけ」として企業イメージを守りつつ、実質的なリストラを完了する戦略です。


まとめ:退職金割増は、企業の“合理的な選択”

業績不振のときに退職金を割増するというのは、感情的には矛盾して見えるかもしれません。しかし、経営戦略としてはきわめて合理的でリスクの少ない方法です。

企業にとっては「法的リスクを避けつつ、コスト削減を実現」するための手段であり、社員にとっても「退職金を最大化できるチャンス」となることがあります。

ただし、そこには企業の生き残りをかけた“苦渋の選択”があることも忘れてはいけません。

あなたの会社でも、もしこのような話が出てきたら、「なぜ今?」と思うのではなく、背景にある経営戦略を冷静に読み解くことが重要です。

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