「早めにもらって、働きながら積み立てればいい」
そう考えて、60歳から年金を繰り上げ受給したものの——
「思ったより使い道ばかり増えて、結局貯金も減っていく」
「働くつもりがあったのに、中途半端なバイトで収入は想定以下」
……そんな“現実”に直面して、後悔の声をあげる人が少なくありません。
💡「繰り上げ受給」は本当に得なのか?
年金を65歳より前倒しでもらう「繰り上げ受給」は、一見メリットが多く見えます。
メリット | 内容 |
---|---|
早くもらえる安心感 | 60歳から毎月振込がある |
長く働けない人に有利 | 健康や体力に不安がある人は◎ |
自分で使う自由度が高い | 若いうちに使える |
しかし、**目先の安心と引き換えに「生涯の受給額が大幅に減る」**という重大な代償があります。
- 60歳から受け取ると、年金額が24%減
- 減額は一生そのまま。増えません
- 物価が上がっても補填されない
🧨 実際に起きている「3つの誤算」
❶ 「年金があるから大丈夫」と思ってしまう
→ 本来働くはずだったのに、「ちょっと安心」してしまい働き方が緩くなる
→ 月数万円のパート程度では生活を補えない現実に気づく
❷ 出費はむしろ増える
→ 医療費や介護保険料、趣味・人付き合い……
→ 若いうちの“自由な出費”が増え、年金だけでは足りない
❸ 積立投資もうまく続かない
→ 「働きながら積み立てるつもり」が、実際は“生活でいっぱいいっぱい”
→ 積立どころか、取り崩すだけの状況になることも…
📉 シミュレーションで見る“繰り上げの損益分岐点”
仮に年金月額が **13万円(65歳時)**の場合、60歳で繰り上げると:
- 減額後:約 月9.9万円
- 減額合計:年間で約 39万円減
生涯でみると、76~77歳以降で逆転される(繰り下げの方が得になる)
つまり、**長生きする人ほど“繰り上げは損”**になります。
💬 心理の落とし穴:「受け取ると使いたくなる」
行動経済学の観点からも:
- 人は“入ったお金”を「使っていい」と錯覚する(メンタルアカウンティング)
- 本来「老後の柱」としての年金を、一時的なキャッシュ扱いしてしまう
- そして、働くモチベーションも曖昧に…
✅ 後悔しないための3つの対策
対策 | 内容 |
---|---|
📌 収支シミュレーションを先に行う | 年金だけで生活できるか? 月ごとに試算 |
📌 働き方を先に設計しておく | 「働きながら」と思うなら、先に職場を確保 |
📌 年金は“命綱”として扱う | 安易に前倒しせず、“最後の保障”と捉える |
📝 まとめ|“早くもらう”ことが“安心”とは限らない
思い込み | 実際のリスク |
---|---|
年金があるから生活は安定 | 支出過多・収入不足でむしろ不安定 |
働きながら積立すればOK | 実際は続かず、貯蓄が減る一方 |
少しでも早くもらったほうが得 | 長生きすれば損、精神的ゆとりもなくなる |
🔚 最後に:本当の「安心」は、“お金の入り口”ではなく“出口”にある
もらうタイミングに悩むよりも、「どう暮らすか」「どう備えるか」の設計の方が、はるかに重要です。
「焦って早くもらう」より、「計画して長く守る」
これが、後悔しないための年金戦略です。
コメント