暴落は「いつか」ではなく「何度も来る」

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──S&P500の歴史が語る“回復までの時間”

株式市場において「暴落」は、例外ではない。むしろ定期的に訪れる“通過儀礼”のようなものだ。
 短期的には痛みを伴うが、長期で見れば、そのたびに市場は立ち直ってきた。では、実際に過去の暴落はどのくらいの期間で回復してきたのだろうか。


■ ITバブル崩壊:回復まで約7年

 最初の大きな転機は2000年のITバブル崩壊である。
 ナスダック総合指数は2000年3月にピークをつけ、翌年には半値以下に急落。S&P500も同様に2000年8月から2002年10月にかけて約49%下落した。
 企業の利益が株価に追いつくまで時間を要し、**完全回復まで約7年(2007年)**を要した。投資家の多くが市場を去ったが、積立を続けていた人々はその後の上昇局面で報われた。


■ リーマン・ショック:回復まで約4年

 次の試練は2008年のリーマン・ショックだ。S&P500は2007年10月の高値から2009年3月の安値までに約57%下落。世界金融システムそのものが揺らぎ、恐怖指数VIXは過去最高を記録した。
 しかし、金融緩和政策と企業の財務健全化が進むにつれ、市場は急速に回復。2013年にはリーマン前の水準を回復した。わずか4年で完全復帰を果たした計算になる。


■ コロナ・ショック:回復まで約半年

 2020年のコロナ・ショックは、史上最速の暴落と呼ばれる。
 パンデミック拡大の影響で、S&P500はわずか1か月半で約34%急落したが、FRBの異例の金融緩和により半年で史上最速の回復を遂げた。
 この出来事は、「暴落=長期低迷」という常識を覆したと同時に、政策対応のスピードが市場心理を左右する時代になったことを示した。


■ 平均回復期間は約3〜4年

 過去3回の主要な暴落を平均すると、回復までの期間は約3〜4年となる。
 つまり、暴落が起きても「数年単位で見れば回復している」という歴史的なパターンが存在する。
 この事実は、積立投資家にとって重要な示唆を与える。暴落時に一時的な損失を被っても、退場しない限り、時間が味方してくれるのだ。


■ 暴落を“待つ”投資家になる

 多くの投資家が「暴落を恐れる」。だが、長期の視点から見れば、暴落こそが将来のリターンの源泉である。
 株価が高値圏にある時期に投資を始めるより、下落局面で積立を続ける方が、平均取得単価は下がり、回復局面でのリターンが大きくなる。
 つまり、暴落とは「未来の利益を安く買うチャンス」と言い換えられる。

 投資信託の自動積立を行っている人であれば、価格が下がるほど“多くの口数”を買える。
 この仕組みを理解していれば、暴落は恐怖ではなく“味方”となる。


■ 「いつか」ではなく「何度も」

 暴落を予測することは不可能だ。しかし、暴落が「起こる」こと自体は予測できる
 過去70年間でS&P500は平均して6〜7年に一度、20%以上の下落を経験している。
 言い換えれば、暴落は「いつか」ではなく「何度も」起こる。
 それでも、長期で指数は右肩上がりを続けてきた。

 これは、市場が常に「悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、陶酔の中で消えていく」サイクルを繰り返しているからだ。
 投資家ができる最も賢明な選択は、“このサイクルの外に立つ”こと。つまり、短期の値動きに一喜一憂せず、時間を味方につけることである。


■ 暴落を乗り越えた先にある成長

 S&P500の長期チャートを眺めると、暴落の谷は確かに深いが、過去のどの暴落もいずれ「小さな凹み」に見える。
 2008年のリーマン・ショックですら、2025年の視点で見れば、上昇トレンドの一部に過ぎない。
 それこそが、資本主義の本質──企業が利益を生み出し続ける限り、株価は長期的に上昇する、という構造だ。

 だからこそ、投資家がすべきことは暴落を避けることではない。暴落の中でも「市場に居続ける」ことだ。
 暴落は、終わる。何度でも。そしてそのたびに、経済は強くなってきた。

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