投資の“忍耐”を支える心理学

年金

──マシュマロ実験が教える「待つ力」

 投資で最も難しいのは、「どの銘柄を買うか」ではない。実は「どれだけ持ち続けられるか」である。短期の値動きに心を揺さぶられ、途中で投げ出してしまう──。この行動を心理学では「セルフコントロールの欠如」と呼ぶ。

 心理学の古典的な研究に「マシュマロ実験」がある。子どもたちにマシュマロを1つ与え、「15分待てばもう1つあげる」と伝える。待てた子どもは、その後の人生で学業成績や収入が高い傾向にあったという。
 つまり、短期的な誘惑に耐えられる人ほど、長期的な成果を得やすいということだ。

 これは投資にも当てはまる。相場が荒れた時に「売りたい」という衝動を抑え、積立を止めずに続ける力が、最終的なリターンを左右する。セルフコントロール理論によれば、人間は“意思”だけでは誘惑に勝てない。大切なのは「仕組み」である。

 たとえば、毎月自動で投資信託を積み立てる仕組みを作れば、「買う・買わない」を判断するたびに意志力を消耗しない。
 また、証券口座を頻繁に開かないようにする、SNSで他人の損益を見ない──これも心理的セルフコントロールの一種だ。

 マシュマロ実験を投資に置き換えれば、「今すぐの利益(1個のマシュマロ)」を我慢して、「将来の複利効果(2個のマシュマロ)」を得る行為といえる。
 長期積立の本質は、マーケットの勝敗ではなく、自分との心理的な戦いに勝つことにある。

 続ける人が、最終的に報われる。
 投資の成果は、知識よりも“忍耐”が決める。

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