金相場2万円超え、止まらぬ上昇──インフレ・地政学・円安が交錯する「資産逃避」の動き

FX  CFD 金(ゴールド)

2025年10月、国内の金(ゴールド)相場がついに1グラム=2万円を突破しました。
2か月前までは1万7,000円台で推移し、「そろそろ天井では」と見られていた金価格。しかし、その予想をあっさりと裏切る形で、史上最高値を更新しています。

「まさかここまで上がるとは」という声が市場でも多く聞かれます。
なぜ今、金が再び買われているのでしょうか。その背景には、インフレ懸念・円安進行・地政学リスクという3つの要因が複雑に絡み合っています。


インフレの長期化と「実質金利」低下

まず、金価格上昇の根底にあるのが「インフレの長期化」です。
米国では利下げ観測が広がる一方、物価の高止まりが続き、実質金利(名目金利-物価上昇率)は低下傾向。
金は利息を生まない資産でありながら、「価値を保つ避難先」として選ばれる特性を持ちます。
つまり、インフレで通貨の価値が目減りするほど、“無利息の金”の相対的な価値が上がるのです。


円安と海外投資家の買い

さらに、円相場の下落が国内の金価格を押し上げています。
ドル建て金価格が一定でも、円が安くなれば、円建ての金価格は上昇します。
ここ数ヶ月で円は一時1ドル=160円を突破。
為替要因だけで、国内金価格を1割以上押し上げた計算になります。

また、世界的に株式市場が不安定化する中、海外投資家も「安全資産」として金を再評価。
ETF(上場投資信託)を通じた買いも活発化しています。


戦争・選挙・AIバブル崩壊懸念…不安定な時代の“避難資産”

加えて、地政学リスクの高まりも見逃せません。
中東情勢や台湾海峡の緊張、そして米大統領選を控えた政治的不確実性。
こうした「予測不能な時代」では、投資家心理が一気に守りに傾きます。
株でも債券でもない、“誰の負債でもない”金という実物資産に資金が流れ込む構図です。


「2万円は通過点か」市場の見方は割れる

今後については専門家の見方が分かれています。
強気派は「世界的な金融緩和再開により、金は2万5,000円も視野に入る」とし、
一方で慎重派は「過熱感が強く、一時的な調整局面もあり得る」と指摘します。

特に注目すべきは、個人投資家の動きです。
純金積立などを通じて、毎月一定額をコツコツと積み立てる層が増えており、
短期的な値動きに惑わされず、“守りの資産形成”として金を位置づける人も目立ちます。


まとめ:「金の価値」は価格以上の意味を持つ

金価格の上昇は、単なる投資の話ではありません。
それは、**世界が不安定であるという「鏡」でもあります。
通貨・株・AIバブルといった“未来への賭け”が揺らぐ時、
人々は最も古い資産──
「金」**に戻ってくるのです。

2万円という節目を超えた今、金は再び「静かな主役」に返り咲いたといえるでしょう。


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