はじめに|退職後も油断できない「税のリスク」
退職後、年金収入だけでなく金融資産を取り崩して生活する人も増えています。
しかし、この段階での「課税所得の増加」は意外な税負担を招き、資産を効率的に活用する上で大きな落とし穴になることがあります。
この記事では、年金受給と金融資産の取り崩しによる税金のリスク、iDeCoや企業年金、退職金の一時金と年金受取の税制の違いをわかりやすく解説します。
1. 年金受給と金融資産の取り崩しによる課税リスク
① 年金収入も課税対象
- 公的年金は「公的年金等控除」があるものの、一定額を超えると課税される
- 他の収入と合算され、所得税や住民税の負担が増えるケースがある
② 金融資産の取り崩しも所得に影響
- 預貯金の取り崩しは課税対象にならないが、投資信託や株の売却益は課税される
- 配当収入も所得税がかかるため、収入の合計で課税所得が増加するリスクがある
③ 課税所得が増えると…
- 医療費控除や介護保険料などの負担増加
- 住民税・介護保険料の計算基準になるため、生活費負担が重くなる可能性も
2. iDeCo・企業年金・退職金の一時金 vs 年金受取の違い
① iDeCo(個人型確定拠出年金)
- 掛金は全額所得控除されるため現役時の節税効果が大きい
- 受取時は「退職所得控除」または「公的年金等控除」の対象となり、税負担が軽減される
② 企業年金
- 年金形式で受け取る場合は公的年金と同じく「公的年金等控除」が適用される
- 一時金で受け取る場合は「退職所得控除」が適用され、税負担が軽減
③ 退職金の一時金
- 退職所得控除の対象となり、長期間勤務していれば大きな控除が受けられるため課税負担は比較的軽い
④ 年金形式での受取
- 公的年金と同じ扱いとなり、控除額は退職一時金より少ない場合が多い
- 受取額が大きいと所得税・住民税の負担が増加する可能性がある
3. 控除を最大限に活かす投資の出口戦略とは?
- 退職所得控除や公的年金等控除を最大限活用するために、受取時期や受取方法を計画的に決めることが重要
- 金融資産の売却や配当受取タイミングも含め、課税所得が過度に膨らまないよう配慮する
- 専門家への相談やシミュレーションを行い、最適な出口戦略を立てることが望ましい
まとめ|退職後も税の仕組みを理解して賢く資産を守る
退職後の資産運用は「税の落とし穴」に注意が必要です。
年金と投資利益の課税の違いを理解し、iDeCoや企業年金の受取方法の選択肢を把握して、賢い出口戦略を立てることが資産を守るカギとなります。
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