【わかりやすく解説】業績不振なのに退職金を割増?その理由とは?

老後

はじめに

「会社の業績が悪いのに、退職金を割増してまで早期退職者を募っている…なぜ?」
そんなニュースを見て、疑問を抱いた方も多いのではないでしょうか?

たしかに、経営が苦しい会社が、わざわざお金を増やしてまで社員を辞めさせようとするのは、一見矛盾しているように見えます。でも実は、そこには企業側の戦略的な理由や長期的なコスト削減の狙いがあるのです。

この記事では、業績不振の会社が割増退職金を支給してまで早期退職を募る理由を、初心者にもわかるようにやさしく解説していきます。


割増退職金とは?

まず、**割増退職金とは「本来の退職金に上乗せして支払うお金」**のことです。通常の退職金に加えて、たとえば数百万円単位で追加支給されることもあります。

この制度は多くの場合、企業が実施する「早期退職制度」「希望退職制度」とセットで提供されます。


なぜ業績が悪いのに、お金を増やして辞めてもらうの?

📌 理由①:将来的な人件費の削減になるから

正社員を1人雇うには、給料のほかにも社会保険料や福利厚生など、年間で数百万円以上のコストがかかります。
たとえば:

年収会社が実際に負担する年間コスト(目安)
600万円約800万円(社会保険料等込み)

このコストが今後も何年も続くことを考えると、割増退職金を一時的に支払ってでも人員整理を進めた方が、長期的にはコスト削減になるのです。


📌 理由②:リストラは法的にも難しく、企業イメージも悪化する

解雇(リストラ)には**「正当な理由」と「手続き」が厳しく求められ、裁判で無効とされるケースも多い**です。しかも、強制解雇は社員の士気を下げ、企業イメージの悪化にもつながります。

そのため、自発的に辞めてもらう「希望退職制度」や「早期退職制度」の方がトラブルが少なくスムーズなのです。割増退職金は、その“インセンティブ”として支給されます。


📌 理由③:退職金は「特別損失」として一時的に処理できる

企業の会計上、割増退職金は「特別損失」として計上できるため、通常のコストとは別扱いになります。
つまり、今期の赤字が多少増えても、来期以降の固定費削減で十分に回収できると判断しているのです。


具体例:大手企業の早期退職制度(仮想)

ある家電メーカーA社は、売上減少と円安の影響で赤字が続いていた。
経営再建の一環として、50歳以上の社員を対象に希望退職を募集。
退職者には通常の退職金に一律600万円を割増し、さらに再就職支援も提供。
結果、目標の800人を上回る1,000人が応募。年間50億円以上の人件費削減につながった。

このように、一時的に割増を支払っても、数年単位で見れば財務的にはプラスになるというのが企業側の狙いです。


まとめ

一見不思議に思える「業績不振でも割増退職金を支払う理由」。
でもその裏には、企業が長期的に生き残るためのコスト戦略とリスク回避があるのです。

ポイントまとめ
✔ 割増退職金は将来的な人件費削減のための「先行投資」
✔ リストラよりもスムーズで、企業イメージにも配慮できる
✔ 会計上も特別損失として処理でき、経営判断として成立している

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